――何かがおかしい。
そう気付いたのは、何気無く窓の外に目をやった時だった。
見える風景が、砂漠に変わっている。
草原に淋しげに建っている、朽ちかけた遺跡。僕はその中を探険していたはずなのに。
慌てて地図を広げる――が、それらしき場所は何処にも載っていなかった。
(……何なんだ……)
心細さを覚えながら、入口の方を振り返る。
遠く、幽かに、光が見えた。
「………………」
今ならまだ戻れるかもしれない。
けれど、折角冒険に来たのだ。この先に進んでみたい気もする。
「……どうする……?」
無意識に漏れ出た声が、問い掛けの意味を増すように、冷たい石の壁に僅かに反響した。