SCENE2  Day to day
 






依 頼 人「それじゃあ、本当にお世話になりました、ヒナセさん」

ナ   ギ「とんでもありません。またいつでも、うち『ヒナセ何でも事務所』にご依頼下さい。

     旅行中の猫のお世話くらいなら、お安い御用ですから」


依 頼 人「あら、頼もしい」

ナ   ギ「ミュウちゃんも、うちの助手のこと気に入ったみたいですし」

依 頼 人「そうなんですの? なら今度もこちらにお願いしようかしら」

ナ   ギ「はい。よろしくお願いします」

依 頼 人「ほらミュウ。ヒナセさんにバイバイして」

ミ ュ ウ「(鳴き声)

ナ   ギ「(笑って)バイバイ、ミュウちゃん」

      <車の去る音>



ナ   ギ「ふぅ」

     <カンカンカンカン……>←外の階段上がる音

     <外の扉 開閉>


ナ   ギ「ただいまー」

          <中の扉 開閉>

ア ク ア「お帰りなさい、ナギ」

ナ   ギ「アクア」


ア ク ア「ミュウちゃん、無事にお届けできました?」

ナ   ギ「ああ。何か妙に感謝されちゃってさ。ここまで送ってくれちゃったよ」

ア ク ア「依頼人(クライエント)に、ですか?」

ナ   ギ「そう。これが僕の仕事なんだからいいですって言ったんだけどさ」

ア ク ア「それなら、始めからお迎えに来てもらっても良かったかもしれませんね。

     でも、それだけ喜んで頂けたら、便利屋(スレーシングレイバー)としても、嬉しい限りじゃありません?」


ナ   ギ「まあね。今度旅行に行く時もうちに頼んでくれるって」

ア ク ア「まあ。その時は、また私に任せて下さいね、ナギ」

ナ   ギ「オッケー。ほんとにアクアによく懐いてたもんなぁ、ミュウちゃん」

ア ク ア「リンメイさんとは敵対してましたけどね。ミュウちゃんたら、ナギのほっぺたひっかいちゃったから。

     リンメイさんのあの怒りよう」


ナ   ギ「(苦笑)、こんな傷、そのうち治るのになぁ……」

ア ク ア「まあ何はともあれ、お疲れ様でした。そういえばお腹すいてないですか?」

ナ   ギ「んー、ちょっと。今日はお昼が早かったからね」

ア ク ア「3時のおやつじゃありませんけど、何か軽く食べます?」

ナ   ギ「そうだね。何があんの?」

ア ク ア「例によってリンメイさんが買い過ぎたケーキが、まだ」

     <ピッ。パカッ>←冷蔵庫オープン

ア ク ア「あら?」

ナ   ギ「どした? ないなら別にいいよ」


ア ク ア「いえ、ケーキはあるんですけど……牛乳がもう切れちゃってるみたい」

      <冷蔵庫閉める音>

ア ク ア「私、今から買って来ますね。夕飯のお買物もありますし」

ナ   ギ「え? 今日の食事当番はリンメイじゃなかったっけ?」

ア ク ア「マーセルタウンに遊びに行っちゃったんです。だから、今日は私が」

ナ   ギ「ちょっと待った。あんな人の多いとこに一人で!? 

     危険だって何度も言
ってあんのに……あいつ、自分がアンティークだってこと忘れてんじゃないか?」

ア ク ア「今日は心配いらないと思いますよ。

     何でも、私と同じUA‐SU型
の、戦闘用モデルのお友達とご一緒らしいですから」

ナ   ギ「……戦闘用モデル?」

ア ク ア「お仕事は警備員だそうですよ」

ナ   ギ「(溜息)、いつの間にそんなのと知り合ったんだか……」

ア ク ア「さあ……あの人脈の広さはミステリーですよねぇ……」

     <トン>←ケーキを置く音

ア ク ア「さて。じゃあ、行って来ますね」

ナ   ギ「あ、傘持ってった方がいいかもよ。何か空うすら暗いから、雨降るかも」

ア ク ア「そうみたいですね。天気予報でも言ってました」

ナ   ギ「気を付けて行って来なよ。アクアも」

ア ク ア「はい。――あ。ナギ、今日、カレーでいいですか?」

ナ   ギ「…………カレー?」


ア ク ア「好きでしょう、ナギ?」

ナ   ギ「そりゃ好きだけど……また? ここんとこしょっちゅう……」

ア ク ア「だって……お金なくて」

ナ   ギ「……………」

ア ク ア「あ、でも今日はちょっと頑張ってお肉入れます! ……安くなってたら」

ナ   ギ「…………………」

ア ク ア「カレーでいいですよね?」

ナ   ギ「…………はい…………」










<COMMENT>


台詞は、収録現場で変わったり、言えないから変えたり(お?)、間違っちゃったけどOKにしたり(おお?)……
そんなこんなで、実際のCDとは若干異なる部分が時々あります。
CDをお持ちで超お暇な方は、探してみるのもご一興かと。


この『solitary marionette 〜I want to tell you I'm living〜』のシナリオは、原作者・半平太のゲラ書きを、泉が大幅に改稿したもの。
基本の流れは同じですが、台詞は勿論のこと、ゲラ段階では居なかったキャラやシーンが加えられたりもしています。

ここの依頼人もそう。
あと、リライトすればする程、何故かヒナセ家の貧乏ぶりが強調されていきました(笑)。
カッファルん家がカードキーがどうのとか言ってるのに、こちらはめっちゃアナログですよ(^^;)。
(カッファルは金持ちのボンボンです。ナチュラル・ボーン・ボンボン。賞金稼ぎは道楽みたいなもんです←シメてやりたいですネ!)

猫の鳴き声は、エノア役の霊凍嬢がやってくれています。
一人動物園とか出来ちゃうビッグバイタリティーガール。
よりリアルにやろうとする彼女対策に、「嘘くさくてもいいから可愛く!」との注意書きが添えてありました(笑)。










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