SCENE1 “Doll”
<テーブルを乱暴に叩く音>
カッファル「いい加減にしろ!! 何度も言ってるだろ! お前はUA‐SV型ヒューマノイド、ロボットなんだよ!
何なら今すぐ機能停止にしてやったっていいんだぞ!!」
エノア 「あっそう! じゃあやってみせれば!?」
2 人「………!!」(←睨み合っているB)
エノア 「………アタシ、ここ出てく」
カッファル「……(動揺を隠して)なに馬鹿言ってんだよ。行く所なんかねぇくせに」
エノア 「いくらでもあるだろ。ここよりマシなとこならね。はい、これ」
<カードキーをテーブルに滑らせるように置く>
カッファル「……何だよ」
エノア 「見れば分かるだろ。この家のカードキー。返すよ、もういらないから」
カッファル「……(怒りを抑えて)エノア……」
エノア 「あ、それから、この家のセキュリティーシステムからも、アタシのデータ削除しといてね」
カッファル「……本気でいい加減にしろよ。そんなに俺を怒らせたいのか」
エノア 「……………」
カッファル「(溜息)、いいか、エノア。冷静に考えてみろよ。お前はヒューマノイドとして、この世に存在してるんだ。
俺が人間以外の何物にもなれないように、お前もヒューマノイド以外のものには、絶対なれない。
何がそんなに気に食わねぇのか知らねぇが……」
エノア (遮って)「うるさい!! もういい……っ!!」
カッファル「(かすかなB)」 (←驚いた)
エノア 「……もういいよ。充分分かったから。アタシが馬鹿だったんだ。
……あんたなんか……っ」
カッファル「…………」
エノア 「……さよなら」
<扉を開ける>
カッファル「おい、エノア! 待て……!」
エノア 「何だよっ、ついてくんな!」
カッファル「ガキみてぇなことしてんじゃねぇよ!! 出てってどうする気だ!」
エノア 「どうでもいいだろ、そんなこと! あんたみたいな分からず屋、もううんざりなの!!
二度とこんな家戻らないから!!」
カッファル「……そうかよ! なら、勝手にしろ! くそったれ!!」
<扉を乱暴に閉める>