月 と 消 し ゴ ム
満ちて欠けて満ちて。
欠けて満ちて欠けて。
終わりなく繰り返す。
まるで僕の心と同じ。
もう踏み出してもいいだろうか。
また欠けてしまわないうちに、満ちているうちに、今度こそ。
夢の棲処などは無いけれど、今の自分から逃げ出す為に。捨て去る為に。
さよならは誰にも届かない。
あまりにも静かに、僕はすべてのものと訣別する。
誰にも気付かれないまま。
僕は消しゴムで消されるようにいなくなる。
そして誰も思い出さない。
だからもう、踏み出してもいいのだろう。
頼りない道行きは、あの半端な月が照らしてくれる。
(update:2006/09/05)